安孫子卓郎先生に頂いたご講評  ( 最終 01.01/13 )


掲示板を通じて、まったくのご好意で作品にいただいた講評を一覧表にしました。
対象の写真に直接リンクを設定してあります。
講評と写真を見比べることで、ご覧くださる皆さんと安孫子先生の指導を共有し、
撮影技術の向上に役立てていくことが出来ればと思います。

* 写真ごとに見やすくするため、改行や関係のない部分の削除など、一部編集させていただいてあります。 *       

Gallery78

「江刺、雪の国から」

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1番目は、左右の扱いが、共に中途半端に感じます。
どちらも良いのだけれど、どちらも取りようが(選択のしようが)むずかしい。

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2番目は隙が無くて良いですね。
左右、上下と決まっていて、文句の付け所がないようです。

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3番は前景のおもしろさが今ひとつ。

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で4番なんですが、これは悩みますね。ワイド端での撮影でしょうか。さらにワイドで、と思ったのですが、よく見るとそうでもなくて、逆に少しだけテレ側にズームして、50mm相当くらいの方が良いのかもしれません。

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5番目はNHKスペシャルの一こまのようです。

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6番目は面白いと思うのですが、もう少しだけ下が少なくて良さそうに思います。詰めすぎるところではないのですが、真ん中ではやや不足でしょう。

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7番のつららですが、単写真としてはもう少しかなぁ。ドラマチックではないので。

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で、8,9,10ですが、私はあっても良かったと思うのですが、3枚入れるのではなく、9番一枚で良かったのではないでしょうか。

Gallery77

「旅先で−2 倉敷の情景」

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これは真ん中、日の丸構図にこだわっているのでしょうか。
成功しているような、そうでもないような。

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1番はチャレンジですが、向こう側の葉っぱが今ひとつ。

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2番、4番は柱が余分ですね。特に4番は。

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5番は下向きの感じを良く出していますが、ちょっと斜め。もう少し左からの方が良かったと思います。

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6番は、ど真ん中に持っていくからこそ、なおのこと正面から撮りたいのですが、難しいですね。わたしも気が引けますから。その意味では8番は成功していますが、ややガラスがうるさすぎるように思えます。おしい。

Gallery76

「旅先で−1 荒尾という町」

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これは良いなぁ、と思うのは9番目。一輪だけコスモスが残っていたのですね。手前の石ですか、それと併せて、良い感じです。変わっているのは1番。これこそ真ん中に持ってくるか、上をあけるか、が良かったように思えます。

Gallery75

「Le Couple」

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ル・クプル、前半にキスシーンを持ってきているのですが、ひょっとして、最初の頃にキスシーンが撮れたので、その後の取材でこだわりが出てしまったのでしょうか。良く撮れているとはいえ、やはり撮りにくいシーンですから、私としては今ひとつ。むしろこれが新飯田調への序曲なのでしょうか。よりスナップ的な写真へ向かっているのかな。

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1番、これをど真ん中に持ってきた意図も解るのですが、ぎりぎりいっぱい左端に持っていくのはいかがでしようか。右側次第ではありますが。

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2番、ちょっとしたカット、ですね。それ以上にはなりにくい。

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3番、カップルの写真としてこういうのがあって良いと思いますが、最後でも良かったかな。どうかな? これもこれ以上にはなりにくい。

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4番、真ん中でも良いのですが、左をあけてもよさそう。これは意図的なんでしょうね。

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5番、これはいまいち。階段がちぐはぐな印象です。小さい階段だけにそろえたいかな。

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6番、これは、撮ったと言うだけ。工夫するゆとりがなかったのでしょうね。わたしでもないけれど(^^;

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7番、これは右と下をカットした構図で。

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8番、割によいと思いますが、右をカットして、手前に大きく壁が入ってくるようなアングルがよいかも。

Gallery74

「こんなもののために生まれたんじゃない」

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日曜日は酔っぱらっていたためか、言葉足らずでした。「以前の飯田さんとレベル的に変わらない、飯田調と変わっていないのでは」と言いました。これを補足するとこうなります。
「以前は、レタッチを封印していた。それを解禁したので作品としての完成度は高くなる。ただし、レベルそのもの、感性の方向としては変わらないのでは」と言うことです。個々の作品に対するコメントはオフで申し上げたものとそう変わりません。4番、6番はぐっとアンダーにした方が主張が強くなると思いますが、作品全体が自己主張の方向性なので、あまり横から口を出すべきではないかもしれません。ただ、この4.6あたりが明るいのは、飯田さんの中に遠慮があるせいかもしれませんね。この遠慮がなくなると、少し「変人」になってくるかもしれません(^^)、、、(^^;
「レベル的に変わらない」と言うのは、当たり前です。E-10を買ったからうまくなると言うほど簡単なものではありません。おそらく誰の場合でも、写真の上達というのは半年、一年のスパンで考えるべきものでしょう。特に飯田さんはだいぶうまくなられているので、「日の丸構図を直したからよくなった」というレベルではありません。従って、前の作品と比べてぐっとレベルアップするという方がおかい。
1年前と比較すればだいぶ主張の強い作品を具現化できていると思いますので、やはり順調に進歩していると言えるでしょう。

Gallery73

「時の回廊」

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2番目は良いですね。顔が止まって足元がスローでぶれているなら最高なのですが、まずこれでも許容範囲です。

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4番目のコスモスも良いですね。右側の壁が入っているところで、窓の明かりが引き締まって見えますね。コスモスの上は切れてない方がよいと思いますが、下の部分もここまで入れたいと言うところ。テレ側いっぱいのまま、自分が下がって上を入れられたかどうか。うまく収まればさらにベスト。

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5番目はちょっと弱い。でもあまりアップにすると全体の雰囲気を損なってしまうでしょうから、これでよいという見方もあります。

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6番のコスモスもうまいですね。窓を入れているところがしゃれてます。

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9番の薔薇も良いですね。今回の室内の花は、背景のハイライト部分の使い方が共通してうまいですね。

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10番は、ステンドグラスの上、三角の明かり、これが何とかならなかったものでしょうか。単純に上を切っても、その方が良かったかもしれないと思います。

Gallery72

「称名寺 彼岸花」

01 02 03 彼岸花拝見しました。1〜3番あたりは、良く撮りそうな構図ですね。
04 4番目のお地蔵さんは、難しいんですよね。良さそうに思えて、なかなかまとめられない場面です。とりあえず、お地蔵さんの向こう、明るい壁はカットしたいですね。赤と黒(と緑)で構成したいところです。
05 5番目は結構良いですね。こんな場所がありましたか。奥の立木の位置も良いと思います。
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6番目、7番目、これはねらっていたのですね。6番目の方がいいと思いますが、橋、葉、花、相互の位置が微妙です。しかし飯田さんのことですから、いろいろ考えた末のベストアングルなのでしょう。

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8番と10番は、もっとアンダーにしてみてはいかがでしょうか。花の色としてはこれで忠実な表現かもしれませんが、さらにアンダーにして強調することで、印象が強くなると思います。


Gallery70

「湘南 夏の日 3」

全般

飯田さんには厳しいコメントがつきますよ。(^^) 覚悟はよいですか(^^)
まずギャラリー70ですが、これは全然ダメ。なにがダメかというと、望遠が長いですよと言う写真になってしまっている。
個々の写真が悪いと言うことではないのですが、またC-2100 Ultra Zoomのサンプルだと言うことならそれもあるのですが、飯田さんの作品としては今ひとつ。短期のレンタルなのでちょっとあせったのでしょうね。

Gallery71

「湘南 夏の日 4

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次のギャラリー71は、少し調子を取り戻していて、5番目あたりはコーラの看板と階段を組み合わせて、階段の横の壁が少し入れているのが安定感をもたらしています。

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また7番目の矢印を持つ女性も良いですね。理想的には矢印がもう少し下にある方がよいのですが、これは注文するわけにゆかないので致し方ないところ。

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また10番目なども圧縮効果が出ていて望遠らしい良いスナップです。
このような7番、10番あたりだと、望遠的スナップとして評価できます。ギャラリー70のようなものですと、1枚くらいはよいのですが続けては平凡。
逆にワイド系など入れず、それだけでまとめてみせるというやり方もあります。そういうときは何十枚も一気に並べると主張も感じられるし、迫力も出てきます。

Gallery69

「夏の子」

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対照的に良くできているのがギャラリー69.
全体に高得点ですが、2枚目あたりはなかなか思いつかない場面です。

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また6枚目の舌を出しているところなどは、初心者が何気なく撮りそうでいて、案外飯田さんクラスになると撮らないもの。それを作品にまとめているのもさすがです。

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5枚目も良いですし、

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8枚目は「通」好みです。空の調子がいまいちですが、そこにこだわりすぎずに撮っているのが「通」です。目線が上目遣いなので、もっと真正面を見つめてもらうと良かったですね。

Gallery68

「江刺、緑の日々」

01

1枚目のバス停の写真。背景のケイトウでしょうか、赤がバス停にかかっています。
もう少し右により、少しアングルを下げて、少しだけ透き間を空けたいですね。

02

2枚目、バスの待合所ですか? 
外観を入れず、中だけで構成したのは良かったと思いますが、椅子の下、ですね。
難しいですね、ここの処理は。

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4枚目、気持ちは分かるのですが、どうでしょう?

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5枚目ギアとアカツメグサかな、これはいいですね。
良いものを見つけたと思います。

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6,9,10あたり、柱とか鳥居など、難しいんですよね。
絵にしにくいところを良く撮っているのですが、
やっぱり絵にしにくいんだなぁと言う印象です。

Gallery67

「岩谷堂、孟蘭盆まつり」

01

エーと、うまいのは1枚目です。
ものすごく見せにくい場面なのに、実にうまい角度で切り取って、見せている。
このあたりは上級者でないと撮れないところです。通好みです。

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3枚目はよいのだけれど、やはり顔が見たかった。

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で4枚目などもすごくうまいのだけれども、

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5,6、7とそれぞれは悪くないのですが、一息つく形になってしまい、

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8,9,10が同じような場面で少し流れとして冗長になっている。

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そこへ持ってきて11番なので、ホッとするのが弱いんですよ。
11番は、たぶん顎でライトを隠す方が良かったですね。技(センス)としてすごいのは1枚目。ここにインパクトが強いので、その後の見せ方が逆に目に付いてしまうわけです。
もっと夜景の迫力のある場面であおり立てておき、11番を持ってくると、ぐっと迫るものが強くなったと思います。

Gallery66

「湘南、夏の日 2」

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今回はかなり計算し尽くして撮影してますねぇ。2番目、普通こう言うときは電車の顔が入るように写すものですが、それを通り過ぎるときに写している。

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1番と合わせると、それが意図的なのがわかります。電車の顔とヒマワリが並ぶと両雄相並び立たずなのですが、電車が横っ腹なのでヒマワリが活きる。うまいです。

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4番、7番、8番など、きっちり計算してますね。

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ハジメチャンさんのところで、50mmで望遠の効果を出すと書きましたが、9番はIXY Digitalの70mmでも望遠らしい写真が撮れるという見本です。
200mmくらいで撮ったと言われても納得してしまうような写真です。2倍ズームでもうまく使うと望遠効果が出るわけですね。

10

10番は、これまた微妙な露出を決めてますね。計算?偶然? 
計算した偶然かな。シャドーがつぶれずにハイライトが残る。このくらーいシャドー部分が、海辺の黄昏、孤独感を出しますね。

Gallery65

「湘南、夏の日 1」

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まず1枚目、赤と青という強い対比で構成されていて、良いですねぇ。
左を切り、右を切り、下を切る。車に斜めに影が入っているのも赤と青の対比を
強めすぎず、効果的です。
あえてなんくせつけるなら、窓の文字、下にわずかに見える行は、隠してしまいたいですね。私が撮ってもそこまで気が回ったかどうかわかりませんが、欠点を探しても、それくらいです。
絞りはF8かな? 2.8だったら8の方がよいですね。

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それから、特に秀逸なのは5番です。
これはいいですね。これが1枚撮れれば、その日はOKです。人のポーズ、影、砂浜の様子、良くこんな場面に出会いましたね。
見下ろす場所では余りよいものは撮れないので、私なら通り過ぎてしまうでしょう。植田調というのは植田正治さんのことでしょうか。確かこのあいだお亡くなりになられたのではなかったかと思いますが、確かにそのような雰囲気がありますね。植田さんがこれを撮影したのであれば、きっとコラムに使ったでしょう。

Gallery64

「湘南、夏のはじめ」

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良い悪いではなく、藤原さん風ですね。影響を受けるときは受けて良いと思います。自分のスタイルが出来るかもしれないし、出来ないかもしれない。写真というのは時間のかかるものだと思うので、まだまだ何巡も巡っていくのではないかと思います。すべてみなよし、です。(^^)
1番目、とても良いと思うのですが、C-2500Lの四角い4:5のフォーマットにややなじまない。単純に2:3で縦位置と言うこともあるでしょうが、2:3で横位置にして、左右にもう一つあれば、、、。でもそれは意図しないところかな?
私の感性で言えば、この光景とフォーマットが今ひとつマッチしてないように感じます。

02

2番目、本当はさらに望遠で、置くに寝ている人物が浮き立つようになれば良かったでしょう。無い物ねだりしてもしょうがないとすれば、下と右をカットして、構図で見せちゃう。

03

3番目、ちょっと無理がありましたか。空がいまいちだし、下の部分をシャドーにしても効果的ではないと思います。

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4番目、これもですね、フォーマットとイメージが一致してないのではないでしょうか。手前の無駄な砂浜を活かしたいのですが、今ひとつ四角いフォーマットがじゃましている。
画面を見てイメージを作るのではなく、先にイメージがきているのですね。

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5番目、おもしろいですね。左下の白いものはご愛敬の内。アンダーを補正しなかったのも良いと思います。

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6番目、これもおもしろいですね。オールの文字が切れていて、意味をなさない。それがよい。
1005は意味のある文字ですが、それだけだとなにも意味しない。意味があるけど意味のない数字と、読みとれない文字の組み合わせが不思議な感覚をもたらしています。

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7番目、雨の降り出しそうな空と、かけだした子供、砂浜の斜面がアンダー気味の露出と共に不安感を出しています。それぞれの構成要素のバランスがよく、作品を構成しています。
この場合空の無駄が多いところが作品の不安感をあおっていますから、4:5のフォーマットが活かされています。

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8番目、締めの一枚なんですが、これは自分の感性の方が強く出てしまい、見せる部分が今ひとつ。
全体を連作として、自分の感性を伝えたものとしての締めの一枚ですね。

Gallery63

「お散歩日和」

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お嬢さんの立つ位置と左右、道とのバランスですね。
道の真ん中の方がいいのかな、左右均等の方がよいのかなといろいろ考えてみましたが、左側は土手のようですから、左右均等にしないほうがよく、やはりこれでベストアングルかなと思います。
02 ワイド感を出していますね。35mmですからゆがみすぎず、また顔を画面中央に持ってきていますからゆがみも小さく、見下ろすアングルでワイド感が強調されています。
03 一番普通ですが、子供の記録としては抑えておくべき一枚ですね。
04 これは、「よし、じゃ走って」と指令して走らせたのでしょうか?それならちょっぴり左下を広めに撮りたいですね。あまり極端に寄せると作り物感が出ますから、ほんの少し。
ストロボで日向のコントラストが低下していますし、上手ですね。テクニックを磨きましたね(^^)

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良いのですが、どうでしょうか、もし手前に余分なものがなければ、さらに引いてお嬢さんを左上に配置して、影の空間を多くしてみては。引くか寄るか、少し中途半端だったかも。
上級クラスの飯田さんですから、大胆な割り切りを求めたいですね。

 

安孫子卓郎先生 のご紹介

オリンパス社「CAMEDIAフォトコンテスト」審査委員長を務められる写真家。
デジタルCAPA誌への連載をはじめ、デジタルカメラ専門誌への寄稿多数。
Nifty のデジカメ関連会議室をはじめとしたNet上でも、「良い写真」を
撮るための指導をプライベートで行ってらっしゃいます。
「横浜デジカメアルバム」の掲示板においても、多数の方が作品への講評を
いただいています。ご好意に、感謝するばかりです。

ご自身のHP   【 T.ABIKO Home Page 】
http://www.netlaputa.ne.jp/~ABIKO-T/


【横浜デジカメ ホームページ】


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